教育用症例について
臨床的所見と組織像を同時に閲覧しながら学ぶ
日本脳腫瘍リファレンスセンターでは、脳腫瘍の病理を学ぶ方々のために教育用症例を準備しております。実際の症例にあたり、その臨床的所見と組織像を同時に閲覧しながら学ぶことが、脳腫瘍の理解を進める上でもっとも効果があると考えるからです。
スライドセミナーとWHOの症例
ここには2種類の教育用資料が準備されております。1つは代表的な脳腫瘍の22症例から成る スライドセミナー であり、脳腫瘍の概略を知るうえで役立つと思います。もう1つは WHOの症例 であり、約230例が収められています。典型例の他、非定型例、稀少例などもあります。同一腫瘍に対して世界の研究者が異なった診断を寄せていることを知ることも意義があり、より進んだ脳腫瘍病理の研究資料と考えられます。
スライドセミナー
1992年から1995年の間、国際病理アカデミーと日本病理学会の共催によって開かれた「病理学教育セミナー【脳腫瘍】」の症例から資料が作成されています。このデータベースには、各症例の臨床病歴と44枚のレントゲン画像、147枚のマクロ・ミクロ画像、及び各症例の診断と解説が収められています。
WHO
WHOでは、悪性腫瘍の国際的な比較研究を推進し、腫瘍の組織学的診断基準の確立と、腫瘍命名法の統一を図る目的で、様々な腫瘍の共同研究センターを発足させてきました。
脳腫瘍に関しては、1970年 Zulch および Rubinstein が分類試案の作成を依頼されました。それ以来 Zulch を委員長とし10人の研究者から成る委員会が組織され、症例の回覧、検討をくり返しました。その結果は、 “Histological Typing of Tumours of the Central Nervous System” として1979年に出版されました。
当時回覧された症例は、日本の委員であった 故石田陽一群馬大学名誉教授 の手元にも保存されており、現在それは日本脳腫瘍リファレンスセンターが保管しています。個々の症例は簡単な臨床病歴、数枚の染色スライド、各委員から寄せられた診断とコメントから構成されています。この web page にはその資料の一部を掲載しました。
Zulch を委員長とし10人の研究者から成る委員会
WHO Collaboration Center for the Histological Classification of Tumours of the Central Nervous System
Head of Centre
Dr K. J. Zulch | Max-Plank Institute for Brain Research, Cologne, FRG |
Participants
Dr. A. P. Avtsyn | Institute of Human Morphology of the USSR Academy of Medical Sciences, Moscow, USSR |
Dr. R. O. Barnard | Department of Pathology, Maida Vale Hospital for Nervous Diseases, Maida Vale, London, England |
Dr. J. M. Brucher | Unite de Neuropathologie, Universite catholique de Louvain, Belgium |
Dr. K. M. Earle | Armed Forces Institute of Pathology, Washington, DC, USA |
Dr. R. Fankhauser | Institute of Comparative Neurology, Faculty of Veterinary Medicine, University of Berne, Switzerland |
Dr. Y. Ishida | Department of Pathology, Gunma University School of Medicine, Gunma, Japan |
Dr. A. Kunicki | Polish Academy of Sciences, Medical Research Centre, Warsaw, Poland |
Dr. L. E. Olivera Rabiela | Dr Pathology Unit, General Hospital, S.S.A., Mexico City, Mexico |
Dr. L. J. Rubinstein | Department of Pathology (Neuropathology), Stanford University School of Medicine, Stanford, CA, USA |
Dr. L. H. Sobin | Pathologist, Cancer, World Health Organization, Geneva, Switzerland |