スライドセミナー「脳腫瘍」

CASE 921.12

症例 12. 35歳,男性

22歳          側脳室内腫瘍の診断で腫瘍摘出術を受ける。
33歳  9月 12日 同部の腫瘍再発にて摘出術を受ける。
35歳   4月  4日 再再発のため摘出術を施行。
手術所見 腫瘍は充実性,一部嚢胞性で血管に富み,タラコ様の形をしており,
比較的軟らかかった。
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CASE 921.12 SUMMARY

1.組織学的診断:central neurocytoma

スペース

2.診断に至る要点と注意点

  1. 成人男性の側脳室内腫瘍
  2. 13年間に2回再発
  3. 間質の血管結合織が良く発達,分葉状構造を示す
  4. 均一な類縁形核と,淡明な細胞質を持つ腫瘍細胞
  5. 核の多態性はないが,核分裂像は小数みられる
  6. 細胞間に繊細な線維性基質
  7. honey-combed structureに類似のところもある
  8. 血管内皮の増殖や壊死像は乏しい

3.本腫瘍の病理学的概要

  1. 若年成人
  2. 側脳室前半部の脳室内腫瘍
  3. 円形小型の均一な腫瘍細胞が敷石状に配列

    しばしば蜂巣様構造を示し oligodendrogliomaに類似

  4. 免疫組織化学: NSE, synaptophysin, NFP(+/-)
  5. 電顕:シナプス様構造, clear vesicles, dense-cored vesicles
  6. 術後の予後ぱ比較的良好なものが多い

4.Comment

ntral neurocytoma 中心性神経細胞腫

 定義 神経細胞の特徴をもつ小さな腫瘍細胞から構成される脳室内腫瘍であ る。

 特徴 若年成人の側脳室前半部の Monro 孔付近に、脳室内腫瘍として発生する境界の鮮明な腫瘍である。類円形の核と淡明な細胞質を持つ小型の均一な腫瘍細胞が敷石状に配列し、 oligodendroglioma に類似の蜂巣様構造を示す。間質には様々な量の細線維性基質が形成される。 電顕的にシナプス様構造、clear vesicles, dense-cored vesicles などの神経細胞系分化を示唆する構造を証明することが診断の決め手となる。 同様の特徴を持つ腫瘍が脳室から離れて発生することがまれにある。 それらは単に neurocytoma 神経細胞腫と呼ばれる。
 免疫組織化学的には synaptophysin と NSE が陽性である。アルコール系の固定液を使用すると neurofilament protein も陽性になることがある。 一部の症例では GFAP 陽性の腫瘍細胞を含んでいる。Oligodendroglioma と clear cell ependymoma との鑑別には免疫組織化的所見のほか電顕的検索が有用である。

5.文献

  1. Hassoun J, Gambarelli D, Grisoli W, et al: Central neurocytoma: an electron microscopic study of two cases. Acta Neuropathol 56:151-156, 1982
  2. 久保田紀彦:Central neurocytoma. 病理と臨床 9:611-619, 1991
  3. von Deimling A, Kleihues P, Saremaslani P, Yasargil MG, Spoerri O, Sudhof TC, Wiestler OD: Histogenesis and differentiation potential of central neurocytomas. Lab Invest 64:585-591, 1991
  4. Figarella-Branger D, Pellissier JF, Daumas-Duport C, Delisle MB, Pasquier B, Parent M, Gambarelli D, Rougon G, Hassoun J: Central neurocytoma: critical evaluation of a small-cell neuronal tumor. Am J Surg Pathol 16:97-109, 1992瘍
  5.                 
  6. Townsend JJ, Seaman JP: Central neurocytoma--a rare benign intraventricular tumor. Acta Neuropathol (Berl) 71:167-170, 1986
    

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