スライドセミナー「脳腫瘍」

CASE 921.18

症例 18. 42歳,男性

24歳 7月    痙攣発作,頭痛にて発症,前頭葉傍矢状洞部髄膜腫の摘出。
34歳 7月     腫瘍が再発し,全摘出を施行される。
35歳       左眼窩~中頭蓋窩の髄膜腫を全摘出。
38歳       左眼窩~中頭蓋窩の髄膜腫を全摘出。35歳同上の部位および傍矢状洞部髄膜腫が再発し,摘出術施行。術後,中頭蓋窩 60Gy,傍矢状洞部 36Gy照射。
39歳 6月    胸部x線にて異常を指摘されたが放置。
40歳 8月    左篩骨洞,前頭洞,左頭頂部髄膜腫を摘出。術後,左眼窩 30Gy,側頭部 36Gy照射。
41歳       左前頭葉底部と大脳鎌の髄膜腫を摘出。その後,肺,肝,骨に転移出現。肝動脈塞栓術を3回施行。
42歳 5月    頚椎,右側胸部痛あり,それぞれ30Gy照射。退院後も左右胸部への照射を外来で続けていた。
42歳 9月 24日 胸部痛が著しいため入院。
42歳 9月 25日 死亡。
標本は38歳に再々発した傍矢状洞部腫瘍。
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CASE 921.18 SUMMARY

1.組織学的診断:hemangiopericytoma

スペース

2.診断に至る要点と注意点

  1. 42歳の男性,再発を繰り返す腫瘍,臓器転移を来して死亡
  2. 血管が豊富,細胞密度がやや高い
  3. 腫大した核と狭い細胞質を持つ紡錘形の腫瘍細胞
  4. 核は異型的で,核分裂像が散在している
  5. 静脈様の血管は腔が圧迫されて狭くなっている

3.本腫瘍の病理学的概要

  1. 小脳テント上,髄膜に発生する
  2. 細胞密度の高い腫瘍,腫瘍細胞が充実性に増殖
  3. 卵円形の核と境界の不明瞭な狭い細胞質を持つ腫瘍細胞
  4. 核分裂像がしばしば観察される
  5. 間質に血管がよく発達,血管腔は圧排され雄鹿の角状(staghorn-like)
  6. 鍍銀染色で細胞間に繊細で緻密な好銀線維網
  7. 免疫組織化学:vimentin陽性,α-smooth muscle actin陰性
  8. 繊細な突起を星芒状に伸ばす腫瘍細胞がび漫性に増殖
  9. 電顕:腫瘍細胞間隙を取り囲む基底膜様物質,細胞質の細線維束

4.Comment

Hemangiopericytoma 血管周皮腫

 特徴 血管周皮腫型の血管形成型髄膜腫(angioblastic meningioma, hemangiopericytic type)と呼ばれていた腫瘍は,頭蓋外に発生する血管周皮 腫と組織学的にもまた免疫組織化学的にも区別できない腫瘍であるとして,単 に血管周皮腫と呼ぶ研究者が増えた.髄膜腫と血管周皮腫は細胞遺伝学的にも 異なった性質を示すことも報告されている.しかし,髄膜腫との移行を示す例 や,腫瘍内に渦紋が証明される例があることから,髄膜腫の一型であるとする 意見もある.  細胞密度の高い腫瘍であり,卵円形の核と境界の不明瞭な狭い細胞質を持つ 腫瘍細胞が充実性に増殖している.核分裂像がしばしば観察される.間質には 広い腔と薄い壁から成る血管がよく発達しており,血管腔は腫瘍細胞に圧排さ れて狭くなり, しばしば雄鹿の角状(staghorn-like)を呈する.鍍銀染色で は細胞間に繊細で緻密な好銀線維網が形成されている.壊死巣もしばしばみら れる. 免疫組織化学的に腫瘍細胞は vimentin 陽性であるが, α -smooth muscle actin は陰性である.正常の血管周皮細胞はこの actin が常に陽性で ある.腫瘍が血管周皮細胞由来であるとの免疫組織化学的根拠はない.電顕的 には腫瘍細胞間隙を取り囲む基底膜様物質が良く発達しており,細胞質には細 線維束がみられるが,細胞突起の複雑な嵌合やデソモソームの形成はない.

5.文献

  1. Jellinger K, Paulus W, Slowik F: The enigma of meningeal hemangiopericytoma. Brain Tumor Pathol 8:33-43, 1991

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